当科のご案内
われわれ外科がめざすところ
済生会松山病院の外科の理念は、安全な手術・治療を提供し、患者さんの早期回復・社会復帰に努めることです。
病気に対する外科手術には痛みを伴います。そして、いつもいつも100%成功するとは限りません。
したがって、手術ではなく、薬や生活習慣の改善で治せるなら、それが一番いいと考えています。
しかし、病気によってダメージを受けた身体を、最も効率よく治す手段が手術であるならば、われわれ外科医は、その医療を安全に、安心して受けていただけるよう最大限の努力をします。
そして、できるだけ手術に伴う痛みがすくなくなるよう、『キズが小さく体に優しい』内視鏡外科手術を積極的に取り入れてゆきます。
外科手術について
外科の最大のミッションは手術です。手術という治療には、3つの段階があります。
第一段階は、この患者さんには手術が必要かという判断をすること。
第二段階は、手術が必要と判断されたならば、その患者さんにとって、安全かつ必要十分な手術を行うこと。
第三段階は、手術後には、患者さんに起こりうる合併症を監視し、迅速に対応すること。
そして、治療のゴールは、元気に退院していただくことです。
外科診療に携わるスタッフ
済生会松山病院には常勤の外科医が5名います。全員が臨床経験を20年以上積んできたベテラン医師です。
さきほどの3つの段階それぞれにおいて、病状の経過や今後の見通しを、できるだけ丁寧に説明することを心がけて診療にあたります。
さらに、われわれ外科医は、入院・外来を問わず、外科に関わるすべての患者さんの医療情報を共有し、手術というミッションを成功させるために、全員がひとりひとりの患者さんの診療に携われるよう、全員回診やカンファレンスを通してコミュニケーションを図っています。
また、手術という治療は、外科医のみで達成できるものではなく、他診療科医師や看護師・薬剤師・検査技師・栄養士・理学療法士・事務職員等多くの人々が関わって成立する治療です。
済生会松山病院は中規模病院ですので、各部門の連携を迅速に取りやすいため、患者さんにとって最も有益な診療体制をとることができます。
気軽にご相談を
現代の社会は、インターネットにより様々な情報が溢れる時代となりました。医療に関する情報もしかりです。
しかし、外来で患者さんとそういった医療情報について話していると、それは嘘ではないけれども、その患者さんには当てはまらないといったことも多く、われわれ専門家からのほんの一言で、その不安や誤解が解消されることもしばしば経験します。いつでも窓口は開いています。困ったなとか、心配だな、ホントのところはどうなんだろう、といったことがある場合には、気軽に相談していただければと思います。
診療科特集
手術実績
主な対象疾患と診療内容等
入院から退院までの期間として、良性疾患は7〜10日、悪性疾患は2~3週間での退院を目指しています。救急疾患は、病状によって入院期間が異なります。
主な対象疾患
鼠径ヘルニア 腹壁瘢痕ヘルニア
胆石症 胆のうポリープ 胆嚢腺筋腫症 慢性虫垂炎 大腸憩室炎
直腸脱 良性膵腫瘍 良性脾腫瘍 多発肝のう胞 食道裂孔ヘルニアなど
【悪性疾患】
早期胃がん・大腸がん 進行胃がん・大腸がん 悪性リンパ腫など
【救急疾患】
嵌頓(かんとん)ヘルニア(鼠径ヘルニア 腹壁瘢痕ヘルニア)
急性胆嚢炎 急性虫垂炎 消化管穿孔 腸閉塞症 気胸など
疾患別診療内容等
鼠径ヘルニア 腹壁瘢痕ヘルニア
鼠径ヘルニアとは
生まれつき、または長年にわたり腹圧がかかることにより、下腹部の筋肉の隙間に穴ができることがあります。その結果、腹部内の腸や脂肪が飛び出てきて、皮膚の下がポッコリ膨らむ病気です。
腹壁瘢痕ヘルニアとは
腹部手術後のキズに一致して、筋肉部分のくっつきが悪く、穴が開いてしまうことがあります。穴の部分は、仰向けになると自分で触ることができます。その結果、腹部内の腸や脂肪がその穴から飛び出てきて、皮膚の下がポッコリ膨らむ病気です。
どちらのヘルニアも、症状がある場合、薬では治せないために手術が必要です。
代表的な症状
・立つと膨らみ、仰向けになると膨らみがなくなる。
・膨らんでいるときには、違和感や軽い痛みがあり、仰向けになると症状が消失する。
・膨らみは比較的柔らかく、手のひら全体で押すとつぶすことができる。
・仰向けになっても膨らんだままであったり、押してもつぶせない、押すと硬い、痛みが強いといった場合は、嵌頓(かんとん:腸がはまり込んで抜けなくなっている状態)が強く疑われます。放置すると、腸が腐る可能性があるため、平日・夜間休日にかかわらず、ただちに病院を受診する必要があります。
診断・治療のために行う検査
・問診と患部の診察
・CT検査(必要時):ヘルニアの種類や程度を判断します。
当院で実施可能な治療
・手術では、穴を塞ぐために人工の布(メッシュ)を体内に埋め込みます。
・腹腔鏡下手術:全身麻酔で行う小さなキズの手術です。お腹の中から穴を見つけて塞ぎます。腹腔鏡下手術では、鼠径ヘルニアで穴が右にも左にもあった場合、同時に診断と治療ができます。腹壁瘢痕ヘルニアで穴が複数箇所ある場合も、同時に診断と治療が可能です。
・前方アプローチ法:膨らみの直上部分を切開して、穴を見つけて塞ぎます。一般的に、鼠径ヘルニアでは半身麻酔で、腹壁瘢痕ヘルニアでは全身麻酔で手術します。
鼠径ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニアの患者さんへ
手術に踏み切ることには勇気がいりますが、症状がある場合には、手術をすることで症状が改善されます。入院期間は1週間程度です。日常的に気になる、困っているということであれば、是非一度ご相談下さい。
早期胃がん・大腸がん 進行胃がん・大腸がん
早期がんとは
がんという病気は、誰もが恐れる病気です。しかし、すべてのがんが克服されていないわけではありません。できるだけ早期に見つけることができれば、治る可能性も高く、治療の選択肢もたくさんあります。早期胃がん・大腸がんなどは、まず内視鏡治療(胃カメラ・大腸カメラによる治療)で、病変部のみを切除します。その後の細胞検査の結果、完全に治しきるには不十分と判断されたら、手術により、さらに広い範囲を切除して完全に取り切る治療をします。
進行がんとは
進行がんの場合、内視鏡治療はできません。治療は、手術と抗がん剤治療が中心になります。病状によって、手術のみ、手術+その後、抗がん剤治療、抗がん剤治療+その後手術、または、抗がん剤治療のみ、といった選択肢があります。病状に応じて、その選択肢は変わってきます。
代表的な症状
・早期がんはほとんど無症状です。定期検診や早期がん以外の症状の検査をしていて偶然に発見されます。
・進行がんでは、胃がんの場合、食事での違和感、胸やけ、みぞおちの不快感・痛み、食欲低下など、大腸がんの場合、血便、便秘と下痢を繰り返す、お腹にしこりを触れる、など、があります。いずれにしても、いつもと違う感覚に気づくことが大事です。もちろんこれらの症状があれば、進行がんというわけではありません。無症状の場合もあるので注意が必要です。ためらわずに検査を受けて下さい。
診断・治療のために行う検査
・問診と患部の診察
・内視鏡検査+細胞検査:胃カメラ・大腸カメラで直接病変を見る。病変部から細胞を取ってきて、顕微鏡で検査します。
・消化管造影(バリウム)検査:胃・大腸の形の変化から病変の全体像と広がりを見る
・造影CT検査:病変の胃・大腸外への腹部内での広がりを見ます。
・PET-CT検査:病変の腹部を含めた全身への広がりを見ます。
当院で実施可能な治療
・手術:早期がんに対する腹腔鏡手術、進行がんに対しては、病状に応じて開腹手術または腹腔鏡手術を行います。
・抗がん剤治療:内服や点滴による抗がん剤治療(=化学療法)を行います。抗がん剤治療は、術前に病変を小さくするための治療(術前補助化学療法)、術後の再発予防を目的とした治療(術後補助化学療法)、そして再発した病変に対する治療(化学療法)があります。術前または術後補助化学療法は、数ヶ月間に渡り期間を決めて行います。化学療法は、治療効果を見ながら継続して行います。使う薬の種類によって、外来で行ったり、数日間の入院加療が必要なこともあります。
がんと診断された患者さんとご家族の方へ
がんという診断は、身体的・精神的・金銭的に日常生活を一変させることも多くあります。大切なことは、正しい情報に基づいて判断をしてゆくことです。したがって、正しい情報を集めなければなりません。正しい情報は、インターネット上ではなく病院にあります。病状については担当医師とよく話してください。セカンドオピニオンといって、当院で行った検査結果を他院に持参し、そこで別の医師の意見を聞くといった方法もあります。また当院には、がん相談支援センターがあります。治療・就労・経済面・医療福祉サービスなどについて相談できます。当人はもちろん、ご家族の方も相談できますので、気軽にご活用下さい。
NCD
National Clinical Database(日本臨床データベース機構,NCD)登録事業について
当院では、一般社団法人National Clinical Database (日本臨床データベース機構,NCD)に参加しており、当院で手術を受けられた患者さんの手術データを登録させていただいております。
みなさまのご理解とご協力をお願いいたします。
詳しくは 【患者さん向け説明文書】 もしくは 【NCDホームページ】 をご覧ください。
【NCDホームページ】http://www.ncd.or.jp
担当診療科 / 所属部門 | 外科 |
専門医・認定等 | 医師免許取得年月:平成6年5月 日本外科学会外科専門医・指導医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医 日本内視鏡外科学会技術認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 ※2024/07/01時点 |
メッセージ | 外科手術は,患者さんにも,家族の方にも,身体的・精神的に大きな影響があると思います。治療の全経過を通じて,そういった苦痛や不安な気持ちに寄り添える診療を心がけてゆきます。困ったことがありましたら,気軽にご相談ください。 |
担当診療科 / 所属部門 | 外科 |
専門医・認定等 | 医師免許取得年月:平成7年5月 医学博士号 日本外科学会外科専門医 ※2024/07/01時点 |
メッセージ | 患者さんの身体と心、両面からのサポートを心がけます。 |
担当診療科 / 所属部門 | 外科 |
専門医・認定等 | 医師免許取得年月:平成10年5月 日本外科学会認定医・専門医・指導医 日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医 日本消化器病学会専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本臨床外科学会評議員 日本腹部救急医学会腹部救急認定医 ※2024/07/01時点 |
メッセージ | 消化器外科を中心とした外科診療を行っております。患者様の立場に立った親切、迅速な医療を心掛けています。 |
担当診療科 / 所属部門 | 外科 |
専門医・認定等 | 医師免許取得年月:平成11年5月 日本外科学会専門医 ※2024/07/01時点 |
メッセージ | まだまだ未熟者ですが、患者さん一人一人に合った治療を心がけていきます。 |
担当診療科 / 所属部門 | 外科 |
専門医・認定等 | 医師免許取得年月:昭和61年5月 医学博士号 日本消化器外科専門医・指導医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医・指導医 日本緩和医療学会緩和医療認定医 日本外科学会外科専門医・選定指導医 インフェクションコントロールドクター(ICD)認定医 終末期ケア専門医 抗菌化学療法認定医 健診マンモグラフィー読影認定医(評価A) 乳癌検診超音波検査実施判定医(評価A) ※2024/07/01時点 |
メッセージ | 消化器外科を中心に一般外科診療を行っています。悪性疾患に対しては、標準治療を心がけています。病気治療に関してできるだけわかりやすく説明することを心がけています。 |