2006年10月、内視鏡室は新装移転して、内視鏡センターとなりました。内視鏡センターには専用の受付と待合があって、広いトイレも2か所備えています。検査室1・検査室2と二つの内視鏡検査室を持ち、同時進行で検査・治療を行っています。検査後の回復ベットは4床備えています。また騒音対策と臭気対策のため内視鏡洗浄機室を独立させました。さらにセンター内に外来診察室を備えて、検査中であっても結果説明や外来診療を行うことができるようになりました。また内視鏡画像データを病院内すべての電子カルテで閲覧できるシステムを導入し、複数の専門医や指導医による内視鏡画像のチェックや症例検討を行うカンファレンス室も併設しています。
当院は1994年から消化器内視鏡学会の認定指導施設の役割を果たしてきました。現在、内視鏡指導医3名、内視鏡専門医3名、内視鏡認定技師3名が在籍しています。
胃カメラと呼ばれている上部内視鏡検査や、大腸内視鏡検査、胆道・膵臓の内視鏡検査、さら小腸を調べるカプセル内視鏡検査、バルーン内視鏡まで対応しています。2013年からは最新の内視鏡システム導入によってさらに診療精度が向上しました。また近年注目を集めている内視鏡治療も積極的に行なっています。
上部 | 大腸 | 小腸 | 胆膵 | |
保有内 視鏡スコープ |
15本(極細径スコープ2本、細径スコープ4本、通常スコープ7本、2チャンネル1本) | 7本 | 2本(カプセル) | 3本(通常スコープ2本、処置用スコープ1本) |
年間検査数 ※2022年度 |
約3,800例 | 約700例 | 約10例 | 約100例 |
処置治療 内視鏡 |
吐血に対する緊急止血処置、胃ポリープ・早期胃癌の内視鏡切除術、胃瘻造設術、食道静脈瘤硬化療法・結紮術、その他に、異物摘出、狭窄拡張術、ステント留置術など | 血便に対する緊急内視鏡処置、大腸ポリープ・早期大腸癌の内視鏡切除術、経肛門的イレウスチューブ挿入術 | 小腸出血に対する止血術、術後腸管の総胆管結石採石術 | 十二指腸乳頭切開術、総胆管結石砕石術・採石術、悪性胆道狭窄に対するステント留置術 |
内視鏡検査の安全対策には常に力を注いでおります。なかでも感染対策の充実化には早くから着手し、1998年より日本消化器内視鏡学会作成の内視鏡洗浄消毒法ガイドラインに基づく徹底的な洗浄を実施してきました。内視鏡洗浄機を2台に増やすことにより、時間のかかる洗浄機洗浄を全検査において導入し、他の施設に先駆けたこととして内視鏡技師会で高く評価されました。
最近では殺菌溶液や機械が進歩して1回の機械洗浄が20分程度で終り、手洗い洗浄を加えても30分程度で次の検査に使用出来るようになりました。殺菌溶液は既知のウイルスや細菌などすべてに対応しています。当院がこの全洗浄方法を早期に取り入れて、他施設の先駆けとなれたことを誇りに思っています。
内視鏡検査は多かれ少なかれ侵襲を伴う検査です。内視鏡学会の定期的な合併症報告においても確認されています。少しでも合併症を減らし、より安全に検査や治療を行なうためにはどういたらいいのか、患者への分りやすい説明や同意の方法など、常に医師や看護師らのスタッフが一体となって検討し合い日々改良を重ねています。
2016年12月、検査前の問診票や検査の説明書を全面的に作り直しました。検査や治療内容ごとの同意書も全面的に見直しました。さらに2014年1月内視鏡処置時の抗凝固薬や抗血小板薬の使用に関する院内指針を作成し、学会からの最新情報をもとに更新しています。
指導医または専門医の指導のもとで研修を行います。
専門医を目指す医師は、指導医の管理のもとで以下を目標に研修して頂きます。(2年目以降)
〈初期研修医師への透視X線検査の指導〉
上部 | 大腸 | 胆膵 |
緊急内視鏡と止血処置、胃ポリープ切除術、静脈瘤治療、胃瘻造設術 初期研修医師の上部内視鏡の指導補助、腫瘍粘膜下層剥離術 |
検査内視鏡の盲腸挿入率95%以上、再現性の高い検査 血便などの緊急内視鏡と止血処置 腫瘍粘膜切除術、腫瘍粘膜下層剥離術 |
胆管造影率85%以上 乳頭切開術、総胆管結石砕石術 結石性急性炎症に対する緊急内視鏡処置 |