高気圧酸素治療とは?
地球上の空気は酸素濃度が21%で、約1気圧の状態です。人間はその中で生活をしています。高気圧酸素治療は、酸素濃度の高い高気圧の状態にして、いろいろな病気の治療をします。その適応疾患は非常に幅広く、代表的な病気として、脳梗塞、頭部外傷、突発性難聴、腸閉塞、一酸化炭素中毒などがあります。このほかにもたくさんの病気に対して治療を行っています。(下記参照)
患者さまは透明なカプセルに入り、中の気圧を大気圧(1気圧)から徐々に加圧していき、2気圧にします。ちょうど水深10mの深さに潜ったときの水圧に匹敵します。その状態で1時間程度安静にしていただき、その後徐々に減圧し大気圧に戻します。治療時間は計1時間半から2時間位です。加圧中は、患者さまは飛行機に乗った時のように耳が「ツーン」としますので、唾を飲んだり、アメをなめたり耳抜きをしてもらいます。この耳抜きさえできれば患者さまは何の苦痛もありません。
治療中はテレビ鑑賞や音楽を聞くこともできます。高気圧の状態では血液中の酸素濃度が普通の状態の10倍以上に増加し、その非常に酸素化された血液が酸欠になっている組織に行き渡り、治療効果を生むわけです。
酸素は非常に燃えやすい気体ですので、治療中の部屋は火気厳禁で、電機製品、使い捨てカイロ等の持ち込みはできません。
当院の高気圧酸素治療装置は日本高気圧環境医学会の安全基準を満たした装置であり、注意事項を守れば安全な治療法で、危険なことはありません。適応疾患が多いので、お気軽にご相談ください。
適応疾患
現在、保険で治療を受けられる主な病気は次の通りです。
・減圧症又は空気塞栓に対するもの(発症後1ヶ月以内に7回まで)
・その他のもの(発症後10回または30回まで)
次の疾患は発症後10回まで治療可能
①急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒(間歇型を含む。)
②重症軟部組織感染症(ガス壊疽、壊死性筋膜炎)又は頭蓋内腫瘍
③急性末梢循環障害
1)重症の熱傷又は凍傷
2)広汎挫傷又は中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害
3)コンパートメント症候群又は圧挫症候群
④脳梗塞
⑤重症頭部外傷後若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫
⑥重症の低酸素脳症
⑦腸閉塞
次の疾患は発症後30回まで治療可能
①網膜動脈閉塞症
②突発性難聴
③放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍
④難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
⑤皮膚移植
⑥脊髄神経疾患
⑦骨髄炎又は放射線障害